貧乏だけど中学受験〜しました2023〜

共働き子沢山家庭。長女・桜子を中学受験させるか悩みつつ、奮闘したブログです。3年生9月から日能研通塾し見事合格しました!

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6年生親の『勇者たちの中学受験』の感想【ネタバレ有】

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昨日は近所のサピックス校舎で学校別サピックスオープンでした。
サピオーはこれでラスト。
来月頭にNNオープンも受ける予定なので、学校別模試はこれが最後かな。
日能研のトライアルの結果もイマイチだったのであまり期待はしていません。
なにせ過去問まだまともに取り組んでないもんね(´・ω・`)
どうなることやら。

さて、そんな中、読んじゃいましたよ話題の中受本。
『勇者たちの中学受験』。
このタイミングで良かったのか、悩みますが、まあこのタイミングだからこそ味わえたこともあったかと思いますw
では、感想です。
ネタバレしてますので、ネタバレしたくない方はお戻りください!

『勇者たちの中学受験』あらすじ概要、作者について

Amazonでの内容説明↓

中学受験最後の3週間、そして、人生で最も長い1週間といわれる入試本番期間中の、
親子の濃密な心情を克明に描いた衝撃作!
親子3組の実話をもとにしたノンフィクション物語であり、真剣勝負のルポルタージュでもある。

小説形式なんですが、実話がベースというものです。
あとがきによると多少の脚色はしているようです(最低限みたいです)。
中学受験の1月入試あたりから2月入試終了までの3組の6年生親子が描かれています。
うん、あとほんの少し未来の桜子とちゅりぷ子ですね(;^ω^)
ちょうど昨年(2022年組)の話です。

塾名、学校名、すべて丸出しなのが特徴の一つですね。
ほかの受験小説や漫画には見られない思い切ったスタイルです。

著者はおおたとしまささん

中学受験関連著書でも有名な、おおたとしまささんが書いています。

単独でも執筆されていますが、中受界隈の著名な方とのコラボも多いかもですね。ほかにもいろいろな中学受験関連本の監修などされています。

帯には『二月の勝者』の高瀬先生や『翼の翼』の朝比奈先生のコメントが載っています。

3章構成

  • エピソードⅠ アユタ
  • エピソードⅡ ハヤト
  • エピソードⅢ コズエ

エピソードが3つ収録されています。
ⅠとⅡは男の子、Ⅲのみ女の子です。
アユタはサピックス生、ハヤトは早稲アカ生(スピカ兼塾)、コズエはうのき教育学院という塾の塾生。
3組の親子の受験が描かれてはいますが、厳密に言うと、ハヤトの兄のタカシ、コズエの姉のアズサの受験も(親の記憶として)描かれています。

リアル6年生中受親の『勇者たちの中学受験』感想


さて、ちゅりぷ子の感想です。
章ごとに書いてみたいと思います。
それぞれの設定も冒頭に入れてみますね。

エピソードⅠ アユタ

  • 家族:水崎大希(父)、真澄(母)、妹(小2)
  • 塾:サピックス(小4冬期講習~)、早稲アカ(新小3~小4冬期講習前)
  • 偏差値:46(サピックス)
  • 受験校

 1月:佐久長聖⇒〇
 2月1日午前:サレジオ⇒×
    午後:山手学院⇒〇
 2月2日午前:鎌倉学園⇒〇
    午後:中大横浜⇒〇(進学)
 2月3日:浅野(第一志望)⇒×
 2月4日:サレジオ⇒×

まずはサピ生アユタのお話。
多分、3つのエピソードの中でもっとも一般的な?マスな?家庭を描いているのではないでしょうか。
最初は神奈川御三家を夢見て早めに早稲アカへ入塾。
徐々に新小4参入組に追い抜かされていき、サピックスへ転塾するも、最終的にはボリュームゾーンの下位層(偏差値46)。
そんなアユタの父・大希が主人公です。
アユタの父・大希は中学受験に対し熱心なパパ。
といっても『二月の勝者』の島津父のようなことにはならず、苛立ちを見せつつもギリギリでちゃんと自分を抑えております。
中学受験本を読み漁るなどの情報収集も、受験日程の戦略などもすべて大希が主導です。
いますよね、こんな熱心なパパ。
パパブロガーさんにも多い気がします!
我が家のパパは中受ノータッチなので、うらやましいです。

印象的なのが熱心な父に対して、常に淡々としている息子。
成績は下がったりはしつつも、特段反発することなく、父の言うことを常に聞くアユタ。
・・・なんですが、もう中学受験に対する熱量が、

父>>>>>息子

なんですよ。
もうどっちの受験なんだ?というぐらいにw
この父・大希が、すごくかわいくて愛しいキャラです。

親としてできる限りのことをした自信が大希にはある。やらせ過ぎないようにすることにも十分に注意した。余計な言葉で傷つけないようにすることも、完璧ではなかったかもしれないが、いい感じにできていたと思う。

親としてはベストを尽くした自負が十二分にある。

そんな風に受験を振り返って大希は「中学受験は親が九割」という言説は嘘だと感じるんです。
「ソースは自分」、でw
アユタの結果と自分の注ぎ込んできた熱量が見合わないと感じたんでしょうね。

そしてさらに、進学先をアユタは母・真澄と決めちゃうんですよ。
当初、大希と決めていた学校とは別の学校に。
さらっと。
あっさりと。
まあそれも今までずっと主導で頑張ってきた大希にしてみれば「何それ」って感じでしょうねw

でもこの家庭の良いところ、アユタが傷つかずに元気に受験を終われたのは、母が受験にのめりこんでいなかった点だと思いました。
まあそれはエピソードⅡを読んだせいともいえますが。
やっぱり両親で熱心になるのは危ないな、と思いましたね。
うちはパパがまったく関心がありませんが、そのくらいでバランス的にはちょうどいいのかもしれません。

まあそんな感想は置いておいて、とにかく2月1日から、アユタの受験が終わるまでの時系列でのお話は、とにかくドキドキハラハラしました。
もう息をするのも忘れるくらい。
だって、もうすぐ、ほんともう間もなく、アユタ&大希と同じような道を桜子と進むわけで。

エピソード的には軽いのですが(失礼な言い方になっちゃいますがそのぐらいエピソードⅡが重いんです)、受験生親には刺激がなかなかのものでした。

大希はアユタの合格校たちにあまり満足していませんが、世間的にはとても優秀ですごい学校ばかりですよ。
アユタの持ち偏差値も、サピックスだから「46」ってなってるだけで、日能研なら「56」ですよね。
誰もが到達できる偏差値ではないと思います。
世間的には十分優秀です。
なんだか無駄に自尊心を削ってしまったのでは?と傍から見てると思っちゃいます。
アユタはそのまま早稲アカにいるか、日能研に行っていたら違っていたかも?(進学先が、とかではなくメンタルが)
いや、アユタではなく「大希が」ですね。
アユタは最後まで「自分の受験」ではなく「父の受験」だったんじゃないでしょうか。

最後の抜け殻のような大希が印象的でしたw
妹はどうするのかな?
我が家も抜け殻になると思います(そして下の子のことは考えられないと思う)。

エピソードⅡ ハヤト

  • 家族:風間悟妃(母)、由弦(父)、タカシ(兄・中2)、ナツミ(妹・小4)
  • 塾:早稲アカ(新小4~)、スピカ(小6夏~)、四谷大塚(小3秋~小3冬)
  • 偏差値:7?(四谷大塚)
  • 受験校

 1月:栄東(東大特待)⇒〇
    灘⇒×
 2月1日:開成⇒×
 2月2日:聖光学院⇒〇(進学)
 2月3日:筑駒(第一志望)⇒×

中学受験産業の闇がドロドロに煮詰められて描かれております。
SNS等でも話題なのはこのエピソードⅡのお話が主なのではないですかね。
『二月の勝者』にも似たようなことが描かれていたりしますが、闇の部分の集合体、って感じですかね。
読んでて非常につらく、重く、やるせなくなります。

超秀才のハヤト(早稲アカでも特待生)、その母・悟妃が主人公です。
超上位層ゆえの悩みや受験産業の歪みが描かれているんですけど、ちゅりぷ子の感想としては、

母が最悪じゃん!

です。
『翼の翼』の翼をかなり賢くした感じの話、というのが近いかしら(さらに最後に救いがほぼなし)。
もうとにかく、読んでいる間中、母・悟妃が気持ち悪くて仕方ありません。
たしかに、超上位層ゆえの悩み、超上位層ゆえに中学受験産業の闇に巻き込まれた感、もあるんですよ。
だから、凡児の母ちゅりぷ子には理解できない、想像もできない部分は大きいとは思います。

たしかに受験産業の構造(早稲アカがやり玉にあがってますけど)のヤバさ、もありますけど、やっぱりそれだけじゃないなって。
ヤバさの本質はそこじゃないと思いました。

ちゅりぷ子が通っていた塾も、灘・ラサールツアーみたいなのやってましたよ。
四天王(超上位4人)は無料で、そのほかの男子は有料というあからさまな感じでしたw
どこの塾も似たようなことはやってますよね。

この家、父・由弦は島津父です。
悟妃の友人がハヤトの家を

「それ、牢屋、いや、地獄だよ。お前んち、おかしいよ」

と指摘するんです。
いやほんとその通り。
絶対ハヤトになりたくない・・・。
そんな友人のありがたい指摘にも耳を貸さない悟妃。
あとで後悔するんですけどね。

たしかに、この島津父、まちがえたハヤトの父は最悪です。
でもなんというか、分かりやすく最悪(悪者としては小物)。
諸悪の根源は悟妃だとちゅりぷ子は思いました。

たとえこの父が家庭にいたとしても、悟妃がまともだったらこんなことにはならなかったのだと思います。
父の暴走もほとんど放置しています。
最終的に離婚?みたいになってますけど、それも『二月の勝者』の桂先生曰くの「中学受験のせいにしないでほしい」ではないでしょうか。

悟妃の何が最悪って、まったく息子の方を向いていないことです。
全然見てない。
塾ばかり見ています。
灘の受験中も気にしているのは塾と周囲の目のこと。
きっとずーっと前からハヤトはSOSを悟妃に出していたことでしょう、でも向き合っていないからそれに気づかなかったんです。
ハヤトは賢いので、そんな母のことも分かっていたことでしょう。
「あ、自分のこと見てないんだな」って。
自分の成績や結果や塾に対する忖度、世間体が気になるんだね、って。

もう最後の筑駒の不合格の連絡をハヤトにさせる場面が最低最悪でした。
なんじゃそりゃ、って。
親として未熟すぎると思いました。
ハヤトが本当に不憫でなりませんでした。

何が怖いって、これが「実話」ってこと。

本当にこんな思いをした中学1年生が日本のどこかにいるなんて、正直信じたくないです。

最終的に悟妃は改心するんですけど、ハヤトの受験後に、妹・ナツミの中学受験をどうするか考える場面で、

ハヤトは勉強はものすごくできる。でも人間としてのバランスには欠ける。一方のナツミは勉強が得意ではない。でも、ナツミには、どこに行っても生きていける明るさとたくましさがある。人間的な総合力としてはナツミの方が勝っている。

って思うんですよね。
どんだけハヤトをコケにするんだと思いました。
島津父が出しゃばってくる前のハヤトは本当に生き生きした天才でした。
素晴らしい子ですよ(うらやましすぎますよ)。
それを潰したのは塾じゃなくて、あんたら夫婦だろ、としか思えません。

なんていうの?
ほとんどを塾や中学受験のせいにしてませんか??と。

まあ、そんなところがちゅりぷ子の感想です。
同性の親だから?厳しい目で評価しすぎたでしょうか?

この家の救いはお兄ちゃんのタカシがとてもいい子だということです。
悟妃は素晴らしい子供3人に恵まれたことにもっと感謝して生きて行ってほしいです(すごい上から目線w)。

エピソードⅢ コズエ

  • 家族:奥山咲良(母)、健志(父)、アズサ(姉・中3)
  • 塾:うのき教育学院(新小4~)
  • 偏差値:51~52(四谷大塚)
  • 受験校

 1月:盛岡白百合⇒〇
 2月1日午前:香蘭⇒×
    午後:三輪田⇒〇
 2月2日午前:恵泉⇒〇
    午後:香蘭⇒×
 2月4日:普連土⇒〇(進学)

さあ最終エピソードは待ってましたの女の子の受験です!
アユタの受験校よりも、知った名前、レベル感もよく分かる学校が並んでいました。
ハヤトは雲の上過ぎて、学校名はもちろんよく知っていますが、あんまりシンクロできなかったw

どす黒胸糞エピのあとの爽やかハッピーエピです。
『二月の勝者』の加藤家のような存在ですね。

「やって良かった」と親子で思えれば中学受験は「成功」。

あとがきにもそのようなことが書かれていましたが、本当にその通りなのでしょうね。
第一志望には落ちてしまったコズエが「やって良かった」と思えた、親子で満足できる受験となったのは、一つには家族という環境もあったでしょう。
ちゅりぷ子もあんな家族のもと受験したいわ。

でも何より、ほかの2人と違ってコズエの受験が「自分の受験」になっていたからではないかな、と思いました。
アユタは父の言い成り、ハヤトは塾の言いなりの母の言い成り。
一方のコズエは、自分が受ける学校を(塾には相談しましたが)自分で決めました。
直前のチャレンジングな変更を最終的に決めたのは本人。
親はその決断を温かく受け入れています。
結果、落ちてはしまうのですが、その受験よりも前に、母・咲良は

どんな結果になっても、私たち家族は楽しく、幸せに、春を迎えているに違いない。

と確信しています。
結果(進学先)≠幸せ、の境地に受験渦中でなってるわけですね。
とても理想的です。

でも果たしてそんな気持ちになれるのだろうか(;´Д`)

そう思ってしまいますね(受験まで秒読みの11月末日)。
なんとかエピソードⅢのような、笑顔でいっぱいの満足感のある受験になるといいのですが・・・。

エピソードⅢを読むと、エピソードⅠで大希が否定した「中学受験は親が9割」って、あながち間違っていないのでは?と思いました。
コズエが良い受験をできたのは、塾選びから含めて親の関わり方がうまかったからですよね。
アユタの受験が悪かったとは言いませんが(ハヤトは悪かったと思う)、「自分の受験」にさせるのもやっぱり親の力量が関わってくるんではないでしょうか(もちろん子供の素質もありますが)。
大希は頑張るベクトルが間違っていたのかも?

6年生の親が読むのは?子供に読ませるのは?

正直、このタイミングで読んで大丈夫か心配でたまりませんでしたが、えーと、うん、大丈夫でした。

6年生の親が読むのはアリ

良いシミュレーションとなった面もあったかと。
こんな感じで2月が進んでいくのかと。
すごくリアルな様子が分かった気がします。

本の中で何度も何度も出てくる、合否の確認場面。
それぞれ色々あるのですが、ページをめくりながらどの合否確認場面も固唾を飲んで見守りました。
あと、不合格を子供に伝える場面なども参考になったのかも。
お手本にしたり、反面教師にしたりしたいと思います。

そんなわけで今読んでもいいのかも。
今しか抱けない感情になるとは思いますけども。
しかし、受験生親子にとっての「魔の月」11月に発売をあててくるのはいかがなもんですかねw

最悪胸糞エピソードのハヤトの話が、一般人にとっては雲の上過ぎたのも救いかも。
近い層の親はどう読むのですかね?
うちはかけ離れているので、「お話」としてちょっと距離感をもって読めたのかもしれないです。
『翼の翼』の方が、心えぐられた気がしました。
binbojuken2023.hatenablog.jp

子どもには読ませない方がいいかな

中学受験塾を否定的に書いてある箇所がいくつも出てくるので、受験する小学生には読ませない方がいいのかもしれません。
塾に対する信頼感が揺らいでもあれですし。
出てくる子供(特にハヤト)にシンクロしたりしたら、傷ついてしまうかも。
親が読めば十分かと。
おおたとしまささんもたぶん親が読む想定でしか書かれていないと思います。

子供には、以前から紹介してる『金の角持つ子どもたち』と『きみの鐘が鳴る』がおすすめです。

『きみの鐘が鳴る』も読み終えたので、また感想書きます!

次の「勇者たち」は桜子たち!

毎度のことながら?超長文になってしまいました、すみません。

読みながら小学生にとって親ってまだすごく大きい存在なんだなと思いました。
影響力が半端ない。
心して日々関わらないとダメなのかもしれません。

出てくる子がみんないい子で素直で健気でたまりません。
たぶんそれはまだこの時期特有のものと言いましょうか。
もう少しで消えてしまう素直さと言いましょうか。
最後の輝きと言いましょうかw
思春期突入したらぜったいこんなに言うこと聞かないよww

だからこそ高校受験よりも大学受験よりも、親の「大人度」「未熟さ」が試されてしまうのでしょうね。
大希が言ってるような「親が9割」ではなく、本当に親がしっかりしないとダメだなと身につまされました。

過酷な入試にまだまだ子供の6年生が挑む、本当に「勇者たち」だなと思います。
次に勇者になるのは桜子たち2023年組ですね。
本当にいよいよ!
どんな結果が待っているのか、笑顔で終われるのか・・・不安ですが、前を向いて進むのみですね。