論説文苦手な桜子のため、小説三昧だった読書タイムの本を試行錯誤してきました。
前回は、論説文対策として、齋藤孝さんの本を親子で読書。
binbojuken2023.hatenablog.jp
齋藤孝さんの文章は非常に読みやすく、桜子もスラスラ読めたようです。
で、今度は少し理系っぽい論説文を読みたいね、ということで稲垣栄洋さんの本にトライすることにしました。
中学入試でも頻出!稲垣栄洋さんの本
植物学者の稲垣栄洋さんの本は、中学入試や中学受験塾界隈で頻出です。
『はずれものが進化をつくる 生き物をめぐる個性の秘密』
四谷大塚の組み分けテストやサピックスのマンスリーテストでも出題されているそうです。
もちろん、我が日能研のテキストやテストでも、稲垣さんの本からの出題は多いので、読んでて損はない作者の1人。
今回は、こちらの作品ではなく、もう少し桜子が構えなそうな、とっつきやすそうな著作から攻めることにしました。
稲垣栄洋さんの本2冊を親子で読書
本当に読むかわからなかったので、図書館本にしましたが、ものすごく楽しそうにすぐに両方読んでしまったので購入すればよかったな。
先にちゅりぷ子が読み、あとから桜子が読みました。
どちらもイラストがたくさん掲載されているし、何より読みやすい文章で、さらりと読めました。
『生き物の死にざま』
シリーズものですが、こちらが最初のほう。Amazonの紹介文↓
すべては「命のバトン」をつなぐために──
子に身を捧げる、交尾で力尽きる、仲間の死に涙する……
限られた命を懸命に生きる姿が胸を打つエッセイ!
生きものたちは、晩年をどう生き、どのようにこの世を去るのだろう──
老体に鞭打って花の蜜を集めるミツバチ、地面に仰向けになり空を見ることなく死んでいくセミ、成虫としては1時間しか生きられないカゲロウ……
生きものたちの奮闘と哀切を描く珠玉の29話。
生きものイラスト30点以上収載。
生き物の「生きざま」は、テレビでも本でもよく描かれますが、「死にざま」のみを扱うというのは珍しい切り口です。
サバンナものでは、生と死をかけたドラマがよく描かれていますが、確かにその場でライオンに食べられなかった者はどうやって死んでいくのだろう。ライオン自身はどうやって死ぬのだろう・・・。
そもそも、生き物にとって「死」とは何なのだろう。
稲垣さんによると、「死」とは生き物が進化する過程で生み出したシステムなんだそうです。
太古の昔には「死」は存在せず、また今も「死」がない生き物がさまざまいるとは驚きでした。
へ~!となる知識も豊富ですし、一方で「死とは何か」「なんのために死ぬのか」ということを考えさせられる哲学的な要素も満載です。
科学的な話でありつつ、哲学的でもある。
大人が読んでも非常に考えさせられる良書でした。
イラストが豊富で、とっても良いです。
ちゅりぷ子の影響で、生き物の生態が好きな桜子も、夢中になって読みました。
イラストが多いのもとっつきやすかったのでしょう。
我が家にある絶滅しましたシリーズよりは、文章が難しいですが、桜子の語彙力でもスラスラと読める難易度です。
↑桜子大好き『わけあって絶滅しました。』
『生き物の死にざま はかない命の物語』
こちらはシリーズ2作目。検索したりすると分かるのですが、稲垣さんの著作はとってもたくさん出ています。
人気の著者さんなのです。
テレビ、新聞、雑誌、SNS等で多数紹介された
ベスト&ロングセラー『生き物の死にざま』、待望の姉妹編が登場!
涙なくして読めない科学エッセイ。生き物たちは、晩年をどう生き、どのようにこの世を去るのだろう──
土の中から地上に出たものの羽化できなかったセミ、南極のブリザードの中、
決死の覚悟で子に与える餌を求め歩くコウテイペンギン…
生き物たちの奮闘と哀切を描く珠玉の27話。生き物イラスト30点以上収載。【項目より】
●羽化をはばまれた夏─セミ
●ある夏の「こぼれ蛍」の孤独─ホタル
●氷の世界で数カ月絶食して卵を守り続ける父─コウテイペンギン
●一年半の子育てを繰り返す母グマと銃声─ツキノワグマ
●“幼稚園”での集団保育と、家族に囲まれた最期─ゴリラ
●化石から見えてきた恐竜たちの愛─オビラプトル
●大回遊の末にたどりついたどんぶり─シラス
ほかに、クジラ、ウナギ、チーター、ヒョウ、ウシ、コチドリ、渡り鳥、日本ミツバチ、
ブロブフィッシュ、カエル、ウスバキトンボ、クマケムシ、雑草、樹木、人間……などなど
この『死にざま』シリーズには、絶滅してしまった生き物も出てきます。
↑これはオビラプトル
小学校中学年以下なら、先述の『絶滅しました。』シリーズがおすすめですが、高学年なら『死にざま』シリーズの方が、国語力の足しになるんじゃないでしょうか。
絶滅しました。おすすめですけどね~。桜子は連日『死にざま』シリーズを小学校で読んでいたら、お友達に
なんか、切ない本読んでるね・・・
と少し引かれてしまったのだとか(;^ω^)
ちゅりぷ子が一人で読んだ稲垣本2冊
稲垣さんの本があまりにもおもしろくて、ちゅりぷ子だけさらに2冊追加で読みました。
『面白くて眠れなくなる植物学』
稲垣さんの専門は植物学であると、『死にざま』の本にも書いてありました。『死にざま』にもちょいちょい植物の話が盛り込まれていて、非常に興味深かったので、がっつり植物の本をチョイス。
ロングセラー『身近な雑草の愉快な生きかた』の著者による、読みだしたらとまらない、すごい植物のはなし。
植物は当たり前のように私たちの身の周りにありますが、けっして何気なく生えているわけではありません。植物の生態は、私たちが思っているよりもはるかに不思議であり、謎に満ちています。本書は、そんな植物の魅力を解き明かす一冊です。
○本書の目次より/木はどこまで大きくなれるのか?/植物のダ・ヴィンチ・コード/花占いの必勝法/花は誰のために咲く/トリケラトプスの衰退と植物の進化/リンゴのヘタはどこにある?/紅葉はなぜ赤くなる?/植物の毒は私たちを魅了する/竹は木か草か?/植物はなぜ緑色をしているのか?/種子のひみつ/カラフルなトウモロコシの謎/台所の植物学/どうしてバナナにタネはないのか?/ねこじゃらしは高性能植物/オスの木とメスの木…
この本は、非常にライトに植物のトリビアが数多く知ることができます。
1章1章がとても短くまとまっているので、読みやすいです。
稲垣さんの読みやすくユーモアに富んだ文章でどんどん先へ進め、気が付けば植物に対してもっと知りたいという興味がわいているのです。
植物はフィボナッチ数列やリュカ数列にちなんで花びらの数や葉の数が決まっている、との話では「植物の中には美しい数学が潜んでいる」とまとめ、元々害虫だったコガネムシと花粉の関係のところで、「植物とコガネムシとの恋の始まりでした」と表現する・・・、稲垣さんの言葉選びや比喩はとっても良いです。
中学受験国語の題材になるのが分かる著者さんです。
この本も小学校高学年におすすめです。
『38億年の生命史に学ぶ生存戦略』
最後はこちら。植物の中でも雑草生態学を専門とされている稲垣さんによる、なんとビジネス書です!
Amazonの紹介文↓
「ビジネスの戦略は生物の戦略と似ている」
それが本書の結論である。
何しろ人間も、所詮は生物の一種である。
そして、経済もビジネスも人間が作り出したものである。
その人間たちの営みが、生物の営みと似通っているといっても、
それはごく自然なことだろう。
それが、どんなに弱そうに見える生き物でも、
どんなにつまらなそうに見える生き物でも、
すべて生き抜くための戦略を持っているのだ。
そして、私たちの目の前には、
38億年の生物の進化が導き出した
成功戦略の「答え」が広がっているのである。
本書「はじめに」より抜粋
植物だけでなく、あらゆる生物の生命史に触れながら、現在のビジネスに落とし込むという、斬新な一冊。
生物は38億年もの間、生き残りをかけて様々な戦略をとってきた。
その戦略はそのまま今のビジネスにも使えるんじゃない?というお話です。
ビジネス書は基本読まないタイプですが、「俺の成功体験談」とかよりも、非常に響きました。
38億年の重みは、すごいw
ちょーっと桜子には難しいかな?と思い渡しませんでした。
でも、背伸びして読むならいいかもしれません。
ちゅりぷ子が難関校の先生だったら、取り上げるかも(;^ω^)
生物×ビジネス。
ああ、問題つくりたくなりますw
精神年齢高め&知識抱負な高学年なら読みこなせるかもしれません。
ビジネス用語や経済史、いろいろ背景を知らない小学生にはちょっと難しいかな。
稲垣栄洋の著作はいい!親子読書おすすめ!
今回ちゅりぷ子も数冊読んでみて改めて思いましたが、
「たしかに面白い!話がうまい!国語の題材にしたくなる!」
と。
植物学者さんだそうですが、なんというか内容は哲学っぽいものが多く、考えさせられるものが多いです。
何より非常に文章がお上手!
すいすい読めます。
小説以外の本に抵抗のある桜子。
そういう子には親子読書がいいな、と改めて思いました。
まず先に親が読み「この人の文章読みやすい!」とか「○○は△△なんだって!ここに詳しく書いてあるよ!」とか小出しに内容をアピールし、誘導するのがポイントです。
桜子はすぐに食いつき、むさぼり読みましたw
内容も事前に精査できますしね。
感想を語り合えるのもよいです。
また著作を桜子に与えたいと思っています。